全国で特殊詐欺をはじめとするさまざまな犯罪に手を染めるアメーバ状の犯罪ネットワーク「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の壊滅に向けて、警察当局が5月22日、抜本的な組織改編を10月に行うと発表した。

「目玉は二つ。一つは全国のトクリュウ情報を分析して新たな司令塔を担う『トクリュウ情報分析室』を警察庁に立ち上げること。もう一つは、警視庁に全国の情報と道府県警の捜査人員を集約して捜査の方向性を定める340人規模の『トクリュウ対策本部』を設置し、その実行部隊である450人の『特別捜査課』を新設することです。警視庁が全国規模の捜査を担う、“FBI体制”の強化といえます」(警察庁担当記者)

©show999/イメージマート

「逮捕されるのは下っ端がほとんどで、特殊詐欺は全くなくなる気配がない」

 トクリュウが注目を集めたのはフィリピンを拠点とした「ルフィ」グループが高齢女性宅に強盗に入り、女性を死亡させた事件。

ADVERTISEMENT

 警察当局はここ20年ほど、特殊詐欺の撲滅を組織の最大の課題としてきた。今回の動きはその課題を「トクリュウの壊滅」に衣替えするものだ。

「銀行口座の凍結やATMの引き出し限度額制限などの特殊詐欺対策によって、犯罪抑止の効果はありましたが、逮捕されるのは下っ端がほとんどで、特殊詐欺は全くなくなる気配がない。警察は、犯罪ネットワークの『最上流』を逮捕しない限り、特殊詐欺も永遠になくならない、と覚悟を決めたようです」(同前)