日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号からダイジェストで紹介します。
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“切れ者”の復活
三井住友フィナンシャルグループ(FG)の人事が話題だ。國部毅会長が特別顧問に退き、三井住友銀行(福留朗裕頭取)会長の髙島誠氏がFGの新会長に就任。そして三井住友銀行の会長に、三井住友ファイナンス&リース社長の橘正喜氏が就くのだ。
「橘氏は68歳で、67歳の髙島氏より入行年次が上。それだけでなく、一旦、関連会社の社長に転出した人物が銀行の会長に返り咲くのも異例です」(三井住友関係者)
“切れ者”で知られる橘氏は若い頃から「頭取候補の一人」と言われ、07年に執行役員に。人事部長や米州本部長を経て、15年に副頭取に就いた。頭取昇格は目前とされていた。
だが17年、変化が起こる。かつてトップ人事はFGの社長と銀行の頭取を、旧住友銀行と旧三井銀行出身者が分け合う「たすき掛け人事」が行われていた。当時、FG社長は旧三井銀行出身の宮田孝一氏、銀行頭取が旧住友銀行出身の國部氏だった。
「次期FG社長には旧住友銀行出身者、銀行頭取には旧三井銀行出身者が就くと予想されていました。旧住友銀行では橘副頭取、旧三井銀行では車谷暢昭副頭取の昇格が本命と言われた」(元三井住友幹部)
だが蓋を開けてみればFG社長には銀行頭取の國部氏が回り、後任頭取には髙島専務が昇格したのだ。
「今後、国際戦略の重要性が増すため、海外経験の長い髙島氏に白羽の矢が立ったと説明されたが、額面通りに受け取る向きは少なかった。宮田氏が自己顕示欲の強かった車谷氏の昇格に難色を示したのではと囁かれました。この人事の余波を受けて、橘氏は三井住友ファイナンス&リースへの転出を余儀なくされてしまったのです」(同前)
《この記事の続では、橘氏のカムバックについて経緯を解説しています〉
※本記事の全文(約4800字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。全文では、下記の内容をご覧いただけます。
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■連載「丸の内コンフィデンシャル」
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2月号 日産ホンダの同床異夢、ソフトバンクの隙間風、HISの後継者は?、犬猿の仲は続く
3月号 楽天ナンバー2の交代、貸金庫事件の余波、トヨタ会長活躍の裏で、パソナの世襲の行方
4月号 日産・社外取の思惑、魚谷氏のコンサル人脈、農林中金の退職金は、ヤマダ3人目の後継
5月号 岐路に立つ富士通、地銀再編の台風の目、農中が抱える爆弾、流通業の新旧交代
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