『ミッドサマー』や『サンダーボルツ*』のフローレンス・ピューと、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのアンドリュー・ガーフィールドが豪華共演を果たした新作映画『We Live in Time この時を生きて』が6月6日(金)より公開となる。

本作は、昔ながらのラブストーリーに刺激的な新しい試みを加えた作品で、エッジの効いた実験的な作品を製作・配給するアメリカの映画スタジオA24が、真正面から〈愛と感動〉を描いた物語の北米配給権を獲得したことや、SNS上で大バズりした“馬ミーム”などで話題を呼んだ今年屈指の注目作だ。
ジョン・クローリー監督は1969年、アイルランド生まれ。『ダブリン上等!』(03)で長編映画監督デビュー。その後、アンドリュー・ガーフィールド主演の『BOY A』(07)や『クローズド・サーキット』(13)、人気ドラマシリーズのシーズン2「TRUE DETECTIVE/ロサンゼルス」(15)などを手掛ける。続く『ブルックリン』(15)が、作品賞を含むアカデミー賞®3部門、英国アカデミー賞6部門にノミネートされ、実力派監督としての地位を確立した。このたびは、ジョン・クローリー監督のオフィシャルインタビューが到着した。
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――フローレンス・ピューとアンドリュー・ガーフィールドという人気俳優ふたりをキャスティングした経緯を教えてください。
ジョン・クローリー監督(以下、クローリー監督) ふたりのキャスティングは、いろんな意味で、驚くほど早く簡単に決まりました。僕はまず、脚本をアンドリューに送ったんです。アンドリューと僕は、何年も前に『BOY A』で一緒に仕事をしたことがあります。彼とは何度か話し合いをして、彼は脚本を気に入ってくれたので、とても早く返事をくれました。
次に彼の相手役をどうしようかという話になった時に、フローレンスに当たったのですが、無理だという返事でした。でもそれから数週間後にもう一度トライしたら、彼女が予定していたマーベルの大作映画が先送りになっていて、ちょうど僕たちの撮影の時期にスケジュールが空いたんです。それからはとんとん拍子でした。普段は、そんなにうまく事が進むことはないんですけどね。
――フローレンス・ピューは、この役にどのような魅力をもたらしましたか?
クローリー監督 アルムートは、ある意味で恐れ知らずで、とても率直な人です。そして、彼女はある時期に、仕事や人生を揺るがされる。また、ドライなユーモアのセンスの持ち主でもあります。フローレンスは、俳優としてとてもエキサイティングな局面を迎えていると思います。俳優として大活躍していますし、この才能豊かな女性は、僕たちの目の前で見事に羽ばたいています。そんな彼女の姿を見ていると、心がワクワクしますね。彼女は、これまでとは違った役を演じる事ができたことを喜んでいました。確かに、これまで彼女が演じたどの役とも異なったキャラクターだと思います。
――アンドリュー・ガーフィールドがこの役にふさわしいと思った理由は何でしょう?
クローリー監督 アンドリューは、傷つくことを恐れず心を開く事ができる人だと思います。自分の感情を見せることを恐れず、役に女性的な側面さえもたらしてくれるので、それが共感を呼ぶんだと思います。
それと同時に、機転のきくコメディアン的な要素もあります。とても面白い人なんです。僕は、その2つの要素が、このキャラクターにとって非常に重要で必要だと感じました。
また僕は、脚本のニック・ペインが模索していた魂に関わる要素、つまり、死や地上での人生の意味というテーマにアンドリューが関心を示すと思ったんです。そして、実際にそのとおりになりましたね。
「セットでのふたりは最高の演技を見せてくれましたよ」
――主演ふたりの相性はどうでしたか?
クローリー監督 こういうことは、実際にやってみるまで分からないものです。だから、ふたりの相性がいいかどうかは、リハーサルまで分からなかったというのが答えですね。彼らは、アカデミー賞で一緒にプレゼンターをした事がありますが、その時もピッタリと息が合っていました。その時に誰もがこのふたりがいいペアになると思ったようですね。
ただ、撮影が始まる前の週に、テーブルを囲んで読み合わせをした時に、場面のリハーサルをするふたりを見て、僕は期待感が高まるのを感じました。それはまるで、1組のサラブレッドが、走り出したくてうずうずしている様子を見ているようでした。ふたりは、まだ自分の役の感覚を掴もうとしている感じで、完全に本気を出している感じではなかったのですが、時折、実際にセットに立った瞬間を楽しみにできるような場面が垣間見えました。そして実際に、セットでのふたりは最高の演技を見せてくれましたよ。

――本作は時間軸がシャッフルして物語が展開していきます。この構成を採用したのはなぜですか?
クローリー監督 ニックの脚本を初めて読んだときから、時間構成に遊び心が感じられました。それが、私にとってこの作品の魅力の一つでもありました。一見とてもシンプルな物語に見えるのですが、非常に独特に並べ替えられた形で展開していきます。その構造が、私たちが「時間」について語りたい意味を生み出すのに役立っています。
映画の中では、3つの異なる時間軸が同時に進行しています。1つ目は、およそ4年に渡るもので、ふたりが初めて出会う直前から物語の最後までを描いています。2つ目は、彼らの人生における一つの出来事を約1年に渡って追ったもの。そして3つ目は、たった1日の出来事です。これらの時間軸が映画の中で絶えず交錯しながら進んでいきます。それによって、ある瞬間は非常に速く過ぎ去るのに対し、重大な出来事が起こるときには時間がゆっくりと進むように感じるという、人生の内側にいる時の感覚を表現しようとしています。この時間構成の面白さと、それを映画的に編集する挑戦に魅力を感じたのです。
――それぞれのキャラクターは、現実の社会を反映しているのでしょうか?
クローリー監督 たとえば、社会の中で積極的に活動し、キャリアを大切にしている人というのは沢山いますよね。彼らは未来に向けて計画を立て、さまざまなことを成し遂げようとします。そんな人にとって、突然“時間が限られる”と、それまでの人生では見えなかった感情が引き出されることになるでしょう。そして、それが必ずしも、これまで築いてきたパートナーとの関係性の中での自分らしさと一致するとは限らないのです。
この物語の一部では、「限りある時間の中で、どうやって生きるか」という現実の中で、ふたりがどのようにその混乱を乗り越えていくのかが描かれています。そして、とても重要な問いが投げかけられます。「残された時間をどう使うのか?」「治療に専念するのか、それとも世界に出て過ごすのか?」という選択です。どちらが正しい、という答えはありません。ただ、その状況において、それぞれの人がどのように感情的に向き合うのかが大切なんです。
この映画は、そうした問いに対して説教的になったり、一つの正解を提示したりするようなものではありません。むしろ、多くの人が直面するであろうこの問題を、観る人それぞれが自分自身の視点で考えられるように描いています。
この映画から受け取ってほしいことは……
――ラブシーンや出産シーンで気を付けたことはありますか?
クローリー監督 最近は、インティマシーコーディネーターをつけるようにしています。また、以前一緒に仕事をした事がある助産師もついてくれて、出産シーンの監修をしてくれました。彼らのおかげで、全員が十分なケアを受けることができ、説得力のある場面を作ることができたと思います。
――本作のテーマは若い世代に共感されると思いますか?
クローリー監督 そう期待しています。現代のラブストーリーは、数がかなり少なくなっていて、あったとしても、往々にしてあざけりの対象になるラブコメディのジャンルに押しやられてしまっています。本作は、真にロマンチックで、コメディの要素も悲劇の要素も含まれていますが、ラブコメディではありません。ラブコメディとは全く違う路線を行っているんです。観客にとって、驚く部分も多々あると思います。また本作は、特定のジャンルには当てはまりません。ただ単に、人生を送ることの意味を表現しようとしているんです。
――観客にこの映画から何を受け取って欲しいと願っていますか?
クローリー監督 観客の皆さんが、この作品に深く心を動かされることを願っています。それも、ただ悲しみによってではなく、喜びによっても、心を動かされてほしいですね。人生において、喜びと悲しみが交錯することこそが、まさに“生きること”そのものだということを感じてもらえたら嬉しいです。
映画『We Live in Time この時を生きて』は6月6日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー!
<STORY>
新進気鋭の一流シェフであるアルムート(フローレンス・ピュー)と、離婚して失意のどん底にいたトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)。何の接点もなかった二人が、あり得ない出会いを果たして恋におちる。自由奔放なアルムートと慎重派のトビアスは何度も危機を迎えながらも、一緒に暮らし娘が生まれ家族になる。そんな中、アルムートの余命がわずかだと知った二人が選んだ型破りな挑戦とは──。
<クレジット>
監督:ジョン・クローリー(『ブルックリン』)
出演:フローレンス・ピュー、アンドリュー・ガーフィールド
2024年|フランス・イギリス|英語|108分|カラー|スコープ|5.1ch|字幕翻訳:岩辺いずみ|映倫区分:G
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ
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