4月21日(現地時間、以下同)にローマ教皇フランシスコが死去し、5月に行われた教皇選挙によって新教皇レオ14世が誕生した。カトリック史上初となるアメリカ人教皇は、祖国ではどのようにみられているのか? 在米ライターの堂本かおる氏が寄稿した。
◆◆◆
2025年5月18日、新教皇となったレオ14世の就任ミサがバチカンのサン・ピエトロ広場にて行われた。世界中から集まった10万人を超す人々を前に、新教皇は「地球の資源を搾取し、最貧困層を疎外する」経済システムを批判し、ウクライナとガザのために祈りを捧げた。
戦争、経済、移民問題などいくつもの問題を抱えて世界中が激しく揺れている今、信仰も国も問わず、誰もが精神的なリーダーを欲しているように見える。
史上初のアメリカ生まれの教皇
レオ14世は史上初のアメリカ合衆国出身の教皇となったが、人々が不安に苛まれているのはアメリカも同じだ。第2期トランプ政権の発足からわずか4カ月だが、連邦職員の大量解雇や関税による物価の大幅上昇など市民生活を直撃する政策の連打となっている。
アメリカにおけるカトリックの人口比は20%弱だが、アメリカ人もまた信仰にかかわらず、拠り所を求めている。折しも映画『教皇選挙』のヒットが重なり、新教皇選出への関心が高まっていた。そこへ思いもかけないアメリカ人教皇誕生のニュースが飛び込み、レオ14世への関心は否が応でも高まった。
5月8日の教皇選出以来、アメリカのメディアは新教皇の経歴、信条、人柄、日々のスケジュールを追い続けた。教皇は連日のように大観衆を前にしてのミサや、世界中から1000人以上ものジャーナリストを迎えて所見表明などを行い、その度に何らかの社会的、政治的な発言を行っている。現代社会にあって聖職者も政治にノータッチではいられないのだ。加えて「教皇は黒人のルーツを持っていた」と驚きのリポートもなされ、アメリカ人の教皇への関心はさらに掻き立てられたのだった。