〇企画趣旨

ROIC(投下資本利益率)経営は、企業価値の向上と資本効率の最適化を実現するための重要な経営手法として採用が加速しており、投資家や経営層にとって重要な参考指標となっています。しかしながらその導入と運用にはいくつかの課題が存在します。具体的には、KPIの適切な設定と管理、ROIC向上と成長戦略の両立、現場の巻き込みと意識改革、適切な資本コストの計測などが挙げられます。これらの課題を克服することで、ROICが資本コスト(WACC)を上回り、企業価値の向上、収益性と資本効率の最適化、経営意思決定の高度化、経営と現場の一体化といった効果が期待できます。

ROICを向上させるためには、営業利益率や投下資本回転率、負債資本比率などのKPIを設定し、継続的にモニタリングすることが不可欠です。収益性向上のために営業利益率や売上総利益率を管理し、投下資本効率を測るために運転資本回転率や固定資産回転率を活用し、資本コストを適切に管理するために負債資本比率や自己資本利益率を評価することも求められています。

また、ROIC経営を成功させるためには、トップマネジメントの強いコミットメントのもと、KPIの見える化と継続的モニタリングを行い、投資評価のルールを策定し、現場への浸透とインセンティブ設計を推進することが必要です。さらには、短期的な数値目標と中長期的な成長のバランスを取りながら、ROICを単なる財務指標ではなく、経営・現場の共通指標として組織全体に浸透させることも重要となってきます。

本企画では、「『収益性』の高い、『将来性』のある事業へのリソース最適配分の実現」に向けたROIC経営の実践をテーマに、事業ポートフォリオの最適化による、「競争優位性強化」と「稼ぐ意識と組織」への変革について、有識者、実践者の講演を通じ考察します。

〇開催概要

開催日時 78日(火) 13:00~17:00
会  場 会場対面および、オンラインLIVE配信のハイブリッド開催
     会場参加:文藝春秋本社ホール(千代田区紀尾井町3-23)
     オンライン参加:Zoomウェビナー
参加対象 企業経営者、経営幹部、経営企画部門、経営管理部門、
     経理・財務部門、データ分析部門、デジタル推進部門など
定  員 会場参加 80名 / オンライン参加500名~
参加費用 無料(事前登録制)
主  催 文藝春秋
協  賛 Tagetik Japan株式会社、株式会社アバント、Sansan株式会社

申し込み

〇来場特典
ご来場様へは野瀬様の著書『ROICツリーで読み解く経営戦略』を1冊プレゼント

 〇申し込み特典
申込者様限定にて2週間のアーカイブ視聴をいただけます。

〇プログラム

13:00~13:50 基調講演
「ROICツリーで読み解く経営戦略」
~「収益性」の高い、「将来性」のある事業を測るROICとWACCの活用と留意点 ~

同志社大学大学院ビジネス研究科
教授
野瀬 義明氏

神戸大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了、筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士後期課程修了。博士(経営学)。1997年大和総研入社。大和SMBCキャピタル(現大和企業投資)等を経て2016年より現職。証券経済学会理事・年報編集委員、経営財務研究編集委員。著書に『日本のバイアウトファンド』(中央経済社、2022)『ROICツリーで読み解く経営戦略』(中央経済社、2025)などがある。


13:50~14:20 課題解決講演①
事業ポートフォリオ最適化を支える、
CCH Tagetikによるグローバル経営管理の革新

ウォルターズ・クルワー Tagetik Japan 株式会社
シニアプリセールスマネージャー
秋葉 美穂氏

2024年にWolters Kluwer CCH Tagetikに入社し、ワン・プラットフォームを活用した経営管理高度化にかかる提案を実施。以前は野村総合研究所に13年間勤務し、主に製造業のクライアントに対して経営管理の高度化、全社デジタル・トランスフォーメーション支援、基幹システム・データ活用基盤導入構想策定~実現化支援に従事。 企業変革に向けた組織・業務改革・システム導入をリード。


14:20~14:30 休憩


14:30~15:10 特別講演①
「持続可能な成長を実現するためのROIC経営」
~ 資本効率の向上と企業価値の最大化に向けて ~

古河電気工業株式会社
取締役 兼 執行役員常務 財務本部長
青島 弘治氏

1992年4月に古河電気工業株式会社へ入社。2011年3月には同社金属カンパニー銅箔事業部の会計グループマネージャーに就任。その後、2013年6月に財務・調達本部経理部経理第2課長、同年11月には経理統括課長を歴任。2018年4月より古河AS株式会社にて管理本部経理部長を務めたのち、2021年4月に古河電工業 財務・グローバルマネジメント本部経理部長、2022年4月からは財務本部経理部長として経理業務の統括を担う。2024年4月には執行役員 財務本部長に就任し、同年6月より取締役 兼 執行役員 財務本部長、2025年4月より現職である取締役 兼 執行役員常務 財務本部長として、企業財務戦略の中核を担っている。


15:10~15:40 課題解決講演②
「近日公開」

株式会社アバント


15:40~15:50 休憩


15:50~16:20 課題解決講演③
「近日公開」

Sansan株式会社
Bill One事業部 マーケティング部 部長
松尾 佳亮氏

2014年にSansan株式会社へ入社。営業職を経験後、インサイドセールス部門の立ち上げを担当。その後マーケティング部にて、マネジャーとしてデジタルマーケティングやオフラインマーケティング施策、テレビCM戦略、など幅広く手掛ける。2017年からはSansanが主催する大型イベントのオーガナイザーを務め、コロナ禍ではオンラインイベントにて20,000人を動員。その後、複数の新規事業の立ち上げに携わり、 現在はインボイス管理サービス「Bill One」のマーケティング責任者として従事している。


16:20~17:00 特別講演②
「資本コストと企業価値」
~ ROIC経営による企業価値拡大の実践 ~

公益社団法人 日本証券アナリスト協会 企業会計部長
東京大学金融教育研究センター 招聘研究員
熊谷 五郎氏

長年にわたるセクターアナリスト、ポートフォリオマネージャーの経験、知見を踏まえ、国内外の審議会委員として、会計基準、財務報告・サステナビリティ報告、監査制度等に幅広く関与。現在、企業会計基準委員会委員(非常勤)、同ASAF対応専門委員会委員を企業会計審議会会計部会を兼任。また国際関係では、IFRS財団IFRS諮問会議(IFRS-AC)副議長、資本市場諮問会議(CMAC)委員、IFRS解釈指針委員会(IFRS-IC)委員を歴任した。また2010年より、京都大学経営管理大学院客員教授(退任済み)として、”Corporate Finance and Capital Markets”、「金融資本市場論」を担当した。1982年慶應義塾大学経済学部卒、1987年 New York University, Stern School of Business卒。