日経平均3万円を切る展開も

 大槻 昨年を振り返っても、GDP成長率や通貨供給量などに照らすとアメリカ株はやや割高だったと言えます。そこに来てこのような景気後退の可能性の高いイベントの影響がどう出るか。

 緋田 その時、日本はどうなると考えますか。

一時前日比1700円超下落した日経平均株価を示すモニター 4月9日午後、東京都中央区 Ⓒ時事通信社

 大槻 アメリカ株が下がった日に前日比で円高になっているケースでは、7割の確率で、アメリカ株よりも日本株のほうが下落率が高い。つまり、日本の市場に対するアメリカの市況の影響は、より大きいものになる可能性があります。直近でも結構落ちていましたが、ショックが来るときには、日経平均株価で言えば、3万円を切るような局面があるかもしれないと思っています。

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 緋田 日本でもせっかく温まった投資熱が冷えてしまいますね。岸田政権が立ち上げた新NISAは評判もよく、多くの方が利用しています。しかしこの関税ショック以降、株価の乱高下を日々気にしている個人投資家は多いようです。

自民党の資産運用立国議員連盟の岸田文雄会長(左)から提言書を受け取る石破茂首相(4月23日、首相官邸)。高齢者に限定して対象となる金融商品を拡大できる「プラチナNISA」などを導入すべきだとした Ⓒ時事通信社

 大槻 そういう方には「長い目で見ましょう」とお伝えしたいですね。個人投資家は時間を味方につけられるので、「タイミングよりタイム」だといつも言っているんです。その日の株価に一喜一憂せず、時間をかけて粛々と積み立てていけば、仮に価格が落ちたときにはたくさん買うことができる。お店に行ってモノが安くなっていたら、それは昨日買えなかったものが買えるということ。まさにオポチュニティなんです。

※本記事の全文(約13000字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と、「文藝春秋」2025年6月号に掲載されています(緋田順×大槻奈那×木内登英×戸矢博明「座談会 トランプ危機をチャンスに変えろ」)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
・ベッセントが求める具体的な“果実”
・米国債下落“アメリカ離れ”進むか
・対中強硬ナバロはいつまで仕切れるか
・自動車、農産物……非関税障壁を見直すべきか

■特集「緊急特集 黒船トランプ迎撃作戦」
・小林慶一郎「日本は米国に何を提案すべきか
・松本大「私が見ているビットコインの未来
・マット・ポッティンジャー「台湾は本当に危うい
・山下裕貴「自衛隊『南西シフト』現地報告